平成25年12月25日
公益財団法人 壽崎育英財団の奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇
 10月に米国小売業視察で1週間その後国際ロータリー主催の第12回韓日親善会議でソウルに3日間参加して参りましたが、米国視察の報告書を時間を見ながら書いており漸く目途はつきましたが財団皆様への報告は次回にして頂いて今回は10月から11月にかけて頂いた皆様の近況報告の中から選ばして頂いてホームページに載せて頂きます。
私の独断と偏見をお許しください。

最初の方は海外での国際学会が主な報告で「案ずるより産むが易し」と悟られた方です。
 先日無事に国際学会を終えてソウルから帰国しました。あれ程までに苦戦していた英語もいざ英語しか話せない環境に身をおくと人間話せるようになるものだなと実感した1週間でした。さて肝心の学会の感想ですが大変刺激的で本当に参加して、よかったなと思いました。実際は現役の大学院生は自分だけで周りから「Bravo」だと思われたらしく、思っていたより多くの日本の方が「顔を見たかった」と会いに来てくださって国内に居たらなかなかお話をすることのない先生方との名刺交換や共同研究にも誘って頂いて、今まで自分はほんの一部の世界しか知らなかったのだなと思いました。また自分に出来ることなんてあるのかと悩むこともありましたが、他国の現状、生の声を聞くことで、先進国に暮らす者として、そして興味あるものをつきつめてここまでやって来たという自覚を持ったことで、今後より一層積極的に高齢化する社会に貢献できる何かを出来るのではないかと思いました。オープニングセレモニーでは自分以外の日本人がかたまっていて、その中に入れず一人でひっそりと白ワインを頂いていると、オーストラリアの方やナイジェリア、タイの方々が次々と話しかけてくださってプレゼンで決まった話を聞くよりも、もっと現実的な生活レベルの困り事を聞くこととそのときの表情を見ることで、ただ学会の講話を聴くだけ以上のものを得ることが出来ました。次の日からはすれ違っただけで「Hi!」と気さくに声をかけて下さって初の海外も1人じゃないと思えたら楽しむ余裕も出ました。京都の先生方と合流した夜は韓国の精神科医の先生に地元のプルコギ屋さんに案内して頂いて、テレビで見るよりも日韓の関係も悪くなく韓国の同世代の人と今後の高齢化社会を支える為には国別ではなく、まずはアジアで共通疎策が必要ではないかなど様々な視点から話してお酒と熱い意見酌み交すという想像もしていなかった経験をして、今はいつか一緒にこの口約束を果たせるよう、お互い精進することを誓って、それぞれの場所で再スタートを切ったところです。帰国した翌日から精神科での実習をしており、また違った新たな発見にたくさんの刺激を頂いています。ただひとつ「案ずるより産むが易し」だなと、ここ1ヶ月の自分の経験から実感しているところでございます。悩むのも、支えられるのも1人ではできません。常に人あってこそです。国や性別は違っても、そして療養中の精神障害を患っている方であっても常に人として誠実に向き合うことで壁にぶち当たってしまってもそこに居る人が手を差し伸べ助けてくれます。今はまだ助けられてばかりの私ですが、いつか私も差し伸べるべき手を、そっと差し伸べられるよう毎日できることを、コツコツとしていきたいです。長くなりましたが近況報告でした。同封させて頂きましたスプーンはささやかではありますが韓国土産ございます。
とおっしゃっておられます。近況報告を感激しながら読まして頂き感謝しておりますのに韓国の香りのスプーン大切に使わして頂きます。私は商人として育って来ましたが商業界ゼミナールで当時の倉本長治主幹がよく「商人である前に人間であれ」とおっしゃっておられました。この近況報告を読まして頂きながら、この温もりのあるお言葉を有難く拝見させて頂くと同時に10月米国小売業視察した時に見学したことはドライな国。競争に情容赦ない国。で近くに大資本のお店にある処で、あまりキレイでもない店が大繁盛で押すな押すなの店での見学をしました。お話を聞くと日本で言う家族的経営です。ファミリー経営の勝利でした。この奨学生の方が卒業なさってお医者様になったとき私もこのようなお医者様の診てもらいたいなと思いました。大変勉強させて頂き心からお礼申上げます。
ありがとうございました。

次の方は教員免許に必要な介護等体験の為に実習のお話です。
今月は実習に行った支援学校で学んだことについて、ご報告をしたいと思います。27日日曜日に私は特別支援学校に実習に行ってきました。これは教員免許状発行の際に必要な実習の1つである「介護等体験」の内容の1つです。特別支援学校にて2日間の実習を行わなければならず、日曜日にあった学校のお祭りに合わせて実習に行ってきました。学校に実習に行くのは今回が初めてで、なおかつこれまであまり経験のしたことのない特別支援学校に行くということで正直とても不安でした。自分は子供達とうまく接することができるのだろうか、子供達と仲良くなれるのだろうかと、本当に不安で心配していました。しかしそんな私の心配や不安とは裏腹に実際に実習はとても楽しく、充実したものでした。支援学校には小学生から高校生まで巾広い年令の子供達がおり、かつ子供の障害の程度も様々です。つきっきりいてあげないといけない子もいれば、障害があるのかさえも分からないような子まで本当に様々です。私が担当した学年は高等部の1年生だったのですが、みんなとても素直で初対面の私でもすぐ「先生!」と元気な声で挨拶してくれたり、子供たちからたくさん話しかけてきてくれました。学力やものごとの理解度の面では確かに遅れを感じますが障害があるからといって「普通のこと違う」と思ったことはありませんでした。実は私は今まで特別支援は本当に特別な教育で「普通とは違う」ものであると心のどこかで思っていました。同様に障害のある子供達も「普通の子と違うんだ」と恥ずかしながら心のどこかで思っていました。しかし実習に行って自分の考えが間違っていたことに気付きました。障害のない子に接する時、いつも私が心がけていることは「この子のために私は何ができるか」を常に自分に問うことです。これと全く同じことを心がけて障害のある子と接しました。すると自分でも驚くほど子供との対応で苦労したことがありませんでした。それどころか自分が思っていた以上の良い反応が返ってきたりして接していて本当に楽しくやりがいがありました。特別支援は何等「特別」なことを教えているわけではない。障害のある子供達も障害のない子どもと何等変わりないことを強く実感しました。今までの自分の考えが差別的なものであったことに恥ずかしさも覚えました。この実習では教師として必要な何か大切なものを学ぶことができたと思います。実習が終わったその日、お世話になった担当の先生方に挨拶に行った際、お褒めの言葉をたくさん頂けました。たくさんの不安の中、一生懸命に実習に励んだため本当に嬉しくまたこれからの自分の自信にもなりました。この度の実習は自分にとって本当に貴重な経験となりました。この学びをいつまでも忘れず、これからの勉学に大いに生かしていきたいと思います。
 
次の方は医療に携わる方の学生さんでインタビューの医師の先生が「死ぬまでこの地域を離れません」のお言葉に感動なさったお話です。
 昨今の台風26号で大きな被害が出た伊豆大島では多くの人命を救い、今でも救助が続いています。1日でも早く行方不明者が家族との再会を願っています。また改めて自然災害が多い国だと知らされる台風でした。日本国民1人1人が自然災害に備え、また自然災害と共存できるような環境を整えなければならないと思いました。さて今月は無事卒業論文を書きあげることができました。去年の12月頃から取組んで1年いくつもの書物を読んだり、多くの方々にインタビューを行ったりなど大変でありましたが、論文を書くことによって多くのことを学びました。今まで知らなかった知識を学び、多くの人にインタビューすることによってその人の考え方や想いを聞く事ができました。私は宮崎の医療について論文を書いています。少子高齢化のこの時代、ますます医療は必要になってきます。特にこの県では中山間部地域の医療が衰退しており、無医者地域も多々あるのが現状です。私はあるお医者さんにインタビューすることができました。この方は地域医療に長年携わり地域の為に医療を行ってきました。赴任当初は都市部のように充実した人材や医療機器がなく、大変ではあったが、多くの方々の支えがあってここまでこられた、とおっしゃっていました。私が一番印象に残っている言葉「死ぬまでこの地域を離れません」と言っていたお医者さんの言葉はインタビューを終えて半年以上たった今でも心に残っています。素晴らしいお医者さんにインタビューをすることができ大変光栄に思っています。現在私自身卒業論文を書く傍ら就職活動を行っています。10月ながら、内定をもらうことができないという状況です。私の友人が決まっていく状況の中で決まっていない私は肩身が狭い思いではありますが、めげずに内定を頂けたらいいなと思います。「死ぬまでこの地域を離れません」医者は死ぬまで医者です。私がインタビューをさせていただいたお医者さんは死ぬまで地域の人々に奉仕し、仕事をし続けます。もし私自身無事内定を頂きましたら、会社の為に働き、生涯会社の為に頑張りたいです。それこそが会社の発展や地域社会の発展にも繋がると私は思います。
とおっしゃっています。凄い決意です。自分というものを考えず一途に会社発展の為に尽くす。との決意で入社してくる新入社員を迎えるその会社の社長の気持ち。頼もしくあり、有難いお気持ちで受入れてくださるだろうと思います。ありがとうございました。

次の方はシンガポールでの国際会議に出席なさった時のお話です。
私は以前申上げていた国際会議(PSSC)のためシンガポールに行き論文発表を行いました。そこでの経験をまず述べたいと思います。国際会議に発表予定の研究室の仲間とともにシンガポールに赴きました。シンガポールは完全な英語圏ではありますが、昨年国際会議があったポルトガルの現地人の英語よりもシンガポールの英語は聞きづらい印象を受けました。シンガポールは英語の喋るスピードが速いので、注意深く聞くように心がけました。しかし同じアジア圏だからなのか日本人の英語は良く聴き取ってくれるので、去年のポルトガルに行ったときよりも外国の方々と会話が弾みました。積極的に会話を行い、充実した日々を過ごすことができました。また発表ではなるべく大きなジェスチャーを交えながら、はっきりとした発音でプレゼンテーションを行いました。幸い中国の大学の教授から質問を頂き研究交流ができてとても良い経験になりました。また日本での発表と海外の発表で大きく異なるのはプレゼンテーションの差と質問する側の視点でした。プレゼンテーション能力は海外の方々が遥かに高く伝えようとする熱意や研究に対する自信が備わっていました。また質問も日本ではあまり考えないようなものも多く価値観の違いに驚きました。しかし日本の建築研究は海外よりも遥かに発展しています。もっと自信を持って研究およびプレゼンテーションを行っていけるよう努力していきたいと思いました。シンガポールから帰ってきてからは次の国際会議と日本での学会に向けて準備を進めています。国際会議は台湾、日本での学会は東京で行われます。修士論文の執筆も始めています。大学院2年間で積み重ねてきた成果を余すことなく修士論文に練りこんでいこうと思います。
とおっしゃっておられます。外国の研究者と勝劣を競うそして得たものを修士論文へ。そして博士論文となるのでしょう。頼もしいお話でした。ありがとうございました。

次の方は看護学科3年生の方で20世紀から21世紀にかけての20世紀従来の看護から脱却し21世紀は人間科学に基づくヒューマンケアが重要とのお話です。
私の与えられた課題は著名な看護理論家の理論を理解し、自己の看護に対する考えを深めるという課題でした。私が選択し読んだ理論書はジーン・ワトソン氏の「ワトソン看護論:人間科学とヒューマンケア」についてです。その内容は20世紀従来の看護から脱却し21世紀の看護の姿のあり様は人間科学に基づくヒューマンケアが重要である。すなわちもはや患者の身体的側面(病気)をみるのではなく身体的、精神的、社会的、スピリチュアル的(霊的)側面から全体的に患者を“独自の個”である存在として捉えることの大切さを述べています。またワトソン氏は現代の医療のあり方をだけに限らず“20世紀から21世紀にかけての社会的問題として人間科学の視点から人間性の重要性について”語られています。それは今の社会が“人としてどうあるべきか?”を求めることを忘れがちになり時代の流れに、多忙さに、他人との関わりを省みることが希薄になっていることを嘆いています。そこでワトソン氏はこのような時代背景から、これから求められる看護の役割はキュア(治療)ではなくヒューマンケアが重要であると述べています。その中でもワトソン氏は看護師たるその人の人間性について言及しています。私は看護師を目指し、日々勉学に懸命に取組んでおりますが、誠にお恥ずかしいことではありますが、知識と技術だけ頭でっかちになっていくばかりで、人間的にまだまだ未熟で至らない点が数え切れない程あります。コミュニケーション1つをとるにしても、なかなか相手との意思疎通も、うまくいかないことが多くあります。しかし今の自分自身に言えることは看護師になるためには、私の中の人間性をもっともっと成長させていかなければならないということが事実です。ワトソン氏が「ヒューマンケア=人と人とのやりとり」と述べていることから私はまずコミュニケーションをうまくはかれるような人間、適切な発言が出来る人間になりたい、と思います。特に看護師という仕事は、私より人生の先輩、何十年も生きていた患者さんと接することが多いと思いますので、経験も言葉も豊富な方々とコミュニケーションをとる中で、私がどういう人間かを言葉や話し方ですぐ判断されると思います。だから私は適切なコミュニケーションをとることが出来、どの患者さんとも良好な人間関係が築いていけるような人間に、看護師になっていたいと思います。また人と人とのやりとりの中でトランスパーソナルな関係を築いていくことも大切であるとワトソン氏は述べています。その関係性とは“お互いに成長させ高め合うこと”を言っています。21年しか生きてない私は視野も価値観も狭く、言葉も社会の常識を知らない未熟な人間です。だからこそ看護師という仕事を通じて様々な人生を生きてきた患者さんと関わることが出来るという絶好の環境にいる私は色々な考え方も知らない言葉も学んでいくことができるということに感謝し、様々なものを吸収して多種多様な考え方をもった看護師になりたいと強く思います。今回このように学んだことを実習の場で活かし、日々邁進していきたいと思います。
と結んでおられます。この方の姿を見ると勉強、勉強また勉強とおっしゃる人生を歩いていこうとお考えのようにお見受けします。私もこの年になっても知らない事ばかりです。
この方の看護師への願望素晴らしく私も負けないように頑張りたいと気合を入れて頂きました。ありがとうございました。


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