令和元年12月30日
公益財団法人 壽崎育英財団の奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇
 

拝啓
令和元年の皆様から頂きました近況報告のホームページへの記載を今回で終わらせて頂きます。私のように年を重ねますとあっという間に1年が終わります。皆様は研究に論文に授業にと大学生でないと出来ない事に全力を尽くしておられる、俗に目が回る程忙しい1年であった事とお察し申し上げます。お正月は家族の方やお友達と楽しくお過ごし下さい。

最初の方は「幸せな働き方」をテーマに研究を続けて来た成果を報告して頂きます。では、

○私たちがサブゼミとして取り組んでいる対話の場「宮崎ダイアログカフェ」では「幸せな働き方」をテーマに2ヶ月にわたって考えていきました。なぜこのテーマに設定したのかというと、現在の企業は効率化や生産性を重要視しすぎているがために従業員に過重労働をさせていたり、精神面や身体面で追い込んでしまっているという現状があるからです。残念ながら、うつ病になり自殺をしてしまう人や過労死してしまう人もいて働き方改革が導入されたように社会問題にもなっています。企業内の人間関係ももちろん大切ですが、組織と個人(従業員)の関係性が最も大切だと考えられます。そこで私たちは幸せな働き方について考えて、その幸せを測ることのできる宮崎県版GNHの指標を作りました。幸せは給料などの数値化できるものばかりではないので主観的に個人と組織の側面から働く人の幸せについて考えていきました。最初に三人組になって「こんな会社で働きたい!」というテーマで対話を行いました。延岡の高校に勤めている後輩の話を聴くと「コミュニケーションをしっかりとりたいけれど、仕事に追われてコミュニケーションがとりづらい。気持ちに余裕ができるといいな」とおっしゃっておられました。確かにやるべきことが沢山あって目の前のことに精一杯になるとコミュニケーションが阻害されるのかもしれません。他に「仕事とプライベートの両立が大切だよね」という意見がありました。実際にデンマークでは、残業した次の日は早く帰れるというのがあるみたいです。日本でも休む人が気をつかわずにお休みできるようになったら良いなと感じました。指標づくりの入る前に、ブータンのGNHの話と、マックス・ニーワの基本的な9つのニーズのお話を参加者の皆さんに共有しました。簡単に説明させて頂きます。まずGNHのお話です。GNHとは国民総幸福度のことで、所得や寿命などの数値ではなく、心の豊かさや自分の気持ちで幸せを測る指標として取り入れられています。その指標は9つの分野があり 1)心理的幸福 2)自然環境 3)健康 4)教育 5)文化 6)生活水準 7)時間の使い方 8)コミュニケーションの活力 9)良い統治。この9つの分野の数値がバランス良く高いことで幸せとされています。このGNHは国がおこなっているものですが、企業は影響力が大きいのでビジネス版GNHができました。ビジネスGNHは企業が主体となって取り組むもので、従業員ひとりひとりの幸せな働き方の着目することができます。今回は働く人の幸せを考えるということで、心理的幸福・健康・教育・時間の使い方と生活水準の4グループにわかれて指標づくりを行いました。次の9つのニーズとはチリの経済学者マックス・ニーフが提唱したもので生存・保護・愛情・理解・参加・怠慢・創造・アイデンティティ・自由があります。この9つのニーズを全て満たしている時が幸せという状態であり、どれか1つでも欠けてしまえば心が貧困であるとされています。このニーズと照らし合わせながら、グループにわかれた指標作りに入りました。どのグループも凄く良い指標が完成したのでその一部を紹介します。

(心理的幸福)
失敗しても大丈夫といえる環境があると思いますか
自分の会社を好きだと思ったことはありますか
相談できる人はいますか
アイデアが採用される機会があると思いますか
(健康)
怪我や病気になった際に会社側の対応はしっかりしていると思いますか
お客さんに体に悪いものを提供していませんか
リラックスできる時間があると思いますか
コミュニティーをとれる時間があると思いますか
(教育)
信頼性を高めるために組織は必要な努力をしていると思いますか
チームのメンバーの在り方や働き方から学びを得て、自分に取り入れていますか
あなたが学びたいことを組織は応援してくれていますか
居心地の良い学びの場を持っていますか
あなたは金銭面や時間面で気兼ねなく学ぶことができていますか
(時間の使い方・生活水準)
あした休む人に「ごゆっくり」と声をかけられますか
あなたは帰宅後も笑えますか
あなたはありがとうカードが書けましたか
あなたの会社は私生活の心のゆとりを尊重し合える場ですか

それぞれの質問から“会社→従業員を大切にする”“働いている人→自分の会社が好きだ”というように組織と個人の関係性が大切だということが分かりました。学び続けることができて、仕事しながらプライベートも大切にすることができる企業が増えていくと良いなと感じました。

とおっしゃっておられます。
学生さんたちで何かの論文を作ったことを社会人、特に経営者トップの人達の会社経営が大成功の為のヒント。より実行案として活用出来るものです。何度も読み返して下さい。ありがとうございました。


次の方は卒業論文のテーマを「日韓従軍慰安婦問題」です。私は戦時中工学部のため徴兵延期。召集令状(赤紙)は来ましたが、学校には通っておりました。当時話を聞く中で韓国の慰安婦がお金を5万円貯めた話。当時お米が一升20銭か30銭の時代です。良い金儲けがあるものだと話したことでした。現在の日韓の問題は今年中には終結するのではないかと思います。では、

○私は大学卒業に向けて卒業論文の製作毎日追われています。私の大学では卒業論文を必ず英語で書き自分が興味をもっている分野について6500ワード以上で書きあげます。大学で4年間英語を徹底的に勉強しても終わらせるのは一苦労です。私の卒業論文のテーマは「日韓従軍慰安婦問題」です。韓国にも留学し、多くの友人がソウルに住んでいるので、このテーマについて調べようと思いました。闇は深く複雑な問題のため、一般人の学生である私が調べるのは本当に大変です。数多くの文献を探したり、海外のニュースを調べたりと大変な日々を過ごしていますが、年末までには必ず終わり新たな気持ちで1年を迎えたいと思います。そして来年からはスターバックスの社員を目指す為今まで以上の努力を尽くしていきますので何卒ご声援の程よろしくお願いします。

とおっしゃっておられます。
日韓の問題闇は深くとおっしゃっておられますが立派な卒業論文が出来上がりますようお祈りをいたします。ありがとうございました。


次の方は学校支援ボランティアなど活動している方で、さまざまな領域の講和の中で感激した講和の報告です。では、

○近私は10月の教育実習を終えましたが、まだまだ学校に関する理解を深めるために大学近隣の小学校で学校支援ボランティアの活動をしたり、さまざまな領域の先生方の講和を頂いたりしています。最近拝講して講和の中では特別支援教育に関するお話がとても印象に残りました。講和をしてくださったのは、特別支援学校の校長先生で、ご自身にも自閉症のお子さんがいらっしゃる先生でした。特別支援学校の教育のお話では、さまざまな障害のある子どもを対象に個別の計画をもとに自立を目指した指導や支援をしているということを知りました。また生徒が18才で高等部を卒業しても、その後のサポートを続けるという「卒業式はあるが卒業はない」学校であることを知り、とても感銘を受けました。また先生のご家庭でのお子さんへの支援では「障害」があるから行動できないと思うのではなく、同年代の人と交流して、より多くのことを経験し、生活上の実践的な支援を継続することが必要であることを学びました。地域の中で障害のある人もない人も自分らしく暮らせるように、お互いに助け合えるような環境づくりが大切だと実感した講和でした。

とおっしゃっておられます。
私の姪の子が障害者ですので、この近況報告を読ませて勇気をつけてもらうと有難いなと思いました。ありがとうございました。


次の方は建学祭で生きた昆虫展示に昆虫がおらず先輩のお陰で展示ができた。その先輩の姿。越えられない壁を超える。学んだお話。では、

○11月1日から11月3日まで私の大学の建学祭「欅祭」(けやきまつり)が開催されました。例年私は軽音サークルで出店するお店のお手伝いをしていましたが、今年は研究室の展示を中心に頑張りました。今回の難所であったメインである昆虫の大型・中型模型は一週間前には完成させることができました。しかし生きた昆虫を展示する生態展示が当初決めていた昆虫がおらず、できなくなり直前で変更ということになってしましました。場所も方法も知らない私に、助言をし、昆虫採集を手伝ってくださったのは2個上の先輩方でした。よく取れる穴場を教えてくださいました。先輩は普段の調査で慣れているからか冷たい流れる川に入りすばやく取ってくれました。その姿を見て越えられない壁を感じると共に、私もあのようになりたいという強い感情が溢れました。ほんの数分で約10種類もの綺麗な川でしかとれない昆虫を採集してくださり無事に展示は「阿蘇の水生昆虫」として触れ合いあり、に展示を提供することができました。お客さんからは、昔こんなの沢山いたよね、かっこいい。はじめて見た。懐かしいなどと喜びの声をいただき、ここでしか味わえないものを感じて楽しんで頂けたのではないかと思います。当日ギリギリまで努力してきたことは無駄ではなかったと思えました。サークルでは2日目ステージに立ち演奏をしました。数あるバンドからオーディションで選ばれチェッカーズを披露しました。特に教員の方々からよく知ってるね、久々に聴けて嬉しかった、などの暖かいお言葉を頂戴し、沢山の人を笑顔にすることができ幸せだと感じました。出店も黒字の売上で終えることができ、また大切な思い出が新たにできました。OBの先輩方もおみやげをもって会いに来てくださり、お褒めのお言葉も頂けました。沢山の人との関わりがあればある程度大変だと思っていましたが、仕事を効率良く同時進行させるスキルを身につけられるチャンスだということに気付きました。まだまだ未熟な点が多いため先輩に教えて頂きながらにはなりますが努力を続けていく所存です。

とおっしゃっておられます。
建学祭での成功から感謝の数々。立派な学生さんだと感じ入りました。ありがとうございました。


次の方は盛り沢山のイベントをこなし、学外の試合で初めての勝利のお話、私も勉強になりました。では、

○11月は部活の合宿や対校戦、そして学祭などイベントが盛り沢山の月でした。産業医科大学との対校戦では学外での試合で初めて勝利することができました。その試合では数多くのことを学ぶことができました。例えば今まで私は、球のスピードに意識をおいていました。しかしこの試合を通して、そんなに速くないボールでもコースを狙えば、とても有効な球になるということを学びました。やはり試合に勝つことは本当に嬉しく、これからももっとテニスを頑張っていきたいと思いました。また学祭では焼きそばを売りました。幹部学生でもあったため学祭中も忙しく行動していました。学祭を通して今まで関わることのなかった先輩、後輩そして同期とも共に仕事をすることができました。はやり先輩はとても大人でまわりのことを誰よりもみていて的確な指示をだされていました。誰よりも大変で忙しいはずなのに、いつも笑顔で疲れている素振りを全く出されていませんでした。私もそういう人になりたいと強く思いました。その為にも様々なことを経験して勉強もしっかりしていきたいと思います。

とおっしゃっておられます。
このお話は大学生だけでなく我々社会人の教訓として受け止めさせていただきました。ありがとうございました。


次の方は先日お亡くなりになった中村哲先生のお話を伺って感動した記録の報告です。では、

今回は先日お亡くなりになった中村哲先生について書きたいと思います。私は4年前中村哲先生の講演会に行きました。先生はアフガニスタンで用水路を掘っていた医師です。先生は私に医療に留まらず現地に必要な支援を柔軟に考えることの大切さを教えてくれました。医者=医療=最高の支援。だと思っていた当時の私に医師がアフガニスタンで用水路を掘っていたことは大変大きな衝撃を与えました。医療に留まらず、水が必要だったら井戸を掘り、食糧が必要だったら農地を作る。農地に水が必要だったら用水路を掘る。それを実行したことが素晴らしいと思います。荒れ地がよみがえり、緑が採れる写真は美しく4年前のことでもまだ鮮明に覚えています。先生のお話で覚えていることは他にもあります。医師としてイスラムの女性に男性医師が受け入れられるのは難しいと話していました。イスラムの女性は肌を隠しています。医師であっても女性患者の治療をさせてもらえないこともあったそうです。自分の価値観で、日本のあたりまえを押し付けず、イスラム教の文化や他人の価値観を尊重して寄り添うことが大事だと教わりました。女性を診察するときは、女性職員に同席してもらうとか、旦那さんにも同席してもらうとか、相手を尊重してできることをすることで信頼関係が生まれるのだそうです。また先生は「誰も行かない所に行って誰もしないことをする」と言います。僻地、戦地、貧困、干ばつ、時に女性や子供だからという理由で、他にも様々な要因で困っている人は世界中の沢山います。支援が届いていない所に行くことに意味があるという先生の考えは私にも受け継がれています。最後に私は、さだまさしさんの本が好きです。ほぼ全作何度も読み返しました。いつもテーマはいのちです。「風に立つライオン」をご存じでしょうか。航一郎という医師がアフリカ、ケニアで医療活動をします。先生は現地の子に“医”のバトンを継ぎますが銃殺されてしまいます。中村先生の最後が航一郎と同じだったことが何より悲しいです。人生を困っている他人の為に捧げた本当に偉大な人でした。沢山の人に感謝され、沢山の人に先生の意志は引き継がれたから大丈夫です。先生のご冥福を祈るばかりです。これからは先生の意志を継いだ者達が益々頑張ります。

とおっしゃっておられます。
読ませて頂きながら医学生の報告ですが中村哲先生の困っている国の人のために死もおそれずやりとげようとするお姿。神々しいお方の報告です。私ごとにようになりますが、メコン河の上流流域で上流の工業地帯からの川が汚染され今までの浅い井戸では水が飲めない子供達も困っている話を国際ロータリーからの情報で知り、熊本南ロータリークラブで深い井戸を掘り小学校がたいへん喜び、近所の方も綺麗な水が飲める。子供達が横並びで蛇口に口をつけて飲んでいた姿を今でも思い出します。しかし中村哲先生のようなことは起こりません。皆さん無事に帰国いたしました。中村哲先生のお話は新聞テレビで見させて頂きました。日本人として尊いお方でした。ありがとうございました。
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