令和元年12月24日
公益財団法人 壽崎育英財団の奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇
 

拝啓
令和元年も押し迫って参りました。奨学生の皆様から頂く近況報告を読ませて頂きながら先ず毎月ご提出頂くこと大変だと思います。学生の時しか出来ない、いろいろ勉強研究やご自分の目標としていることへの挑戦をなさっている時の時間のなさに対して1ヶ月を振り返って1日1日の自分を検証なさっておられる方、そしてそれをする歓び、研究論文の時間を大切にしておられながら、この方々には感謝の言葉もございません。ありがとうございます。令和2年の挑戦目標はおできになっておられると思います。今年1年ありがとうございました。

最初の方は医学生です。病院長から「君に強く求める。医師の知識不足は許されない」の近況です。では、

○今月も臨床実習で歯科診療棟にて診察のアシスタントを行う毎日です。指導医の先生の下で治療のやり方や患者さんとの接し方を学んでいます。以前この近況報告のお手紙で2つの目標を立てさせて頂きました。@知識をあいまいにしないことA自分の行動をふり返り生活を律すること。正直にお話しますと、毎日なかなか思い通りにいかず反省の多い毎日です。「だって私はまだ学生だし・・・できない(知らない)ことがあってもしょうがないよね」と言い訳したくなる自分がいます。情けないです。そんな情けない自分に嫌気がさしながらも今日より明日、少しでも知識や技術が改善するように毎日過ごしたいと思っています。自分のために前金沢大学付属病院長の河崎一夫先生の「医学を選んだ君に問う」から一部抜粋させて頂きます。「君に強く求める、医師の知識不足は許されない。知識不足のまま医師になると罪のない患者を死なす。知らない病名の診断は不可能だ。知らない治療をできるはずがない」「君自身や君の最愛の人が重病に陥った時に勉強不足の医師にその命を任せられるか?医師には知らざる、は許されない。医師になることは身震いするほど怖いことだ」この文章を読むと背筋が伸びます。明日も頑張ります。

とおっしゃっておられます。
お医者様になる方への貴重な先生のお言葉でした。どんなお仕事の方にも適応するお言葉です。ありがとうございました。


次の方はこの奨学生の方、父親を亡くして貧しい家庭。自分は「できない」が口ぐせ。運良くウガンダ留学で、見学で本当の「できない」実情を知り自分のできないことの浅はかさを悟ったお話です。では、

○今月は来年度よりオーストラリアへの留学が決ったこともあり、留学に向けた準備の月となりました。アルバイトもありますが、「留学」そのものに改めて向き合いました。その決意表明として綴らせて頂きます。私は今年度より短期大学を卒業後鹿児島大学へ編入学をしました。編入時に私は「留学をする」ことを目標としていました。が、今までの生活に加え、新たな環境で様々な変化に順応することに必死で、その目標を忘れかけていました。あっという間に半年が過ぎ、後期に入っていました。新しくできた友人と卒業後の進路について話をした際に「このまま行動しなければ一緒に卒業できる」と思っていました。しかし私が編入をした理由、当初の目標を見失っては本末転倒だと自分を奮い立たせ、もう1度自分がなぜ「留学をする」のかを考えることにしました。私が「留学」について興味をもったきっかけはウガンダ共和国に行ったことでした。私が所属する学生団体の支援先である「アフリカ」に現地視察に行くということで。はじめはただ「海外」に興味があっただけでした。しかしこの「海外」で私の考えが変わったのです。私は幼いころに父を亡くしました。経済的に貧しい家庭で育った私は周りを見ては常に自分は「できない」と諦めていました。そんな時ウガンダ共和国に行ける機会を頂いたのです。現地に行き都市部から離れた地方の現状を見た時本当に「できない」事情を知りました。自分の「できない」がどれほど浅はかだったのか、そう思っていた自分を恥じました。私の「普通」で「当たり前」にできる生活が、彼らのために「できる」ことはないのか。今の自分を見直す機会になった初めての「海外」でした。この考えは少なくとも自分は「日本」にいては出来ない考えでした。もう1度「海外」に行きたい。可能性を広げたい、と思いました。そしてその「海外」への目的は「自分」の成長だけでなく「誰かのため」にできることであり「彼等」への恩返しとして胸をはれることにしたいと思い今回の制度を選びました。成長ありきな「留学」ではなく自発的に行動し続けられる「留学をする」とこをもう1度目標とし来年に向け準備を始めました。この留学が私の人生の「ゴール」では決してありません。ですが、この機会を無駄にすることなく、人生の「分岐点」となるように努めます。

と、このようにおっしゃっております。
感激しました。ありがとうございました。私はロータリーの一員としてアフリカに地方でいまだに飲む水がなく、飲む水を汲みに行くのが女性の仕事。頭に桶をのせ1日に3往復飲める水を持ち帰る。この話を聞いて水をお金と同じ感覚で無駄のないよう捨てないように心掛けております。この奨学生の方のお言葉のように私の「分岐点」になりました。この話を聞いたロータリアンも飲む水を大切になさっておるだろうと思います。ありがとうございました。


次の方は「失敗は成功のもと」を実践しておられます。何事も同じだと思います。では、

○私はウィンタースポーツに出掛ける計画を友人と立て始めました。昨シーズンはスノーボードにアイススケートなど多くのスポーツをすることができ、いい思い出となっています。鹿児島はほとんど雪が積もらないので遠くまで行かなければなりませんが、またそれも楽しみのひとつです。元々旅行がとても好きなので県外に行くのは楽しくてなりません。昨シーズンのスノーボードは人生初の経験だったので、難しかったですがやってみて良かったと思いました。やったことのないものに挑戦するのは勇気が要りますが学ぶこともあり、自分の経験値がアップするので、これからもいろんな事に挑戦していきたいです。「失敗は成功のもと」と言いますが多くの失敗が次やその次の成功につながっているとつくづく感じます。同じ失敗を何度もくり返すのはよくないですが、失敗を恐れず挑戦していきたいです。

とおっしゃっております。
このお考えを職業に就いた時から始めますと大成功なさる方です。ありがとうございました。


次の方は保健室登校の児童へのボランティア活動デイサービスでのご苦労をなさっておられる奨学生の報告です。では、

○11月から他の小学校で保健室登校の児童を対象とした支援を行っています。まだ3回しか行っていませんが、私が感じていることや気を付けていることを2つお伝えしようと思います。1つは児童と仲良くなることです。保健室登校の児童への接し方について小学校の先生に助言を頂きました。それは相手の好きなこと、好きなものを聞くことです。人は自分の好きなこと、好きなものを質問されると答えたくなるといいます。保健室登校の児童が「三浦先生なら信頼できる、悩みを打ち明けることができる」といった関係性を築くことが大切だと聞きました。児童と話をしていて、ある児童が目を合わせてくれないことが児童からの何かしらのサインであることに気づけたのも授業のおかげです。2つ目は会話の中から不登校の原因を探ることです。もちろん「なぜ教室に行けないのか」と直接は聞きません。授業でもそれは避けるべきだと学びました。今まで関わってきた先生方から様々な情報をもらい、少しずつ関わり、その中で不登校の原因を予想立てていきます。不登校の原因は人間関係。家族との関係。学業不振。教師との関係。など様々です。様々ある原因の中から予想を立て、ごく自然に予想立てた原因に関することを質問します。原因が分かれば原因を対処するような支援をすることができます。週1回の2時間分しかない時間で様々な話をしようと思うとあらかじめ聞きたい内容を考えておかなければなりません。また目的とする内容を聞くためにどのような質問から始めるか非常に考えることがあります。このようなことを通して人の心への踏み込み方を学んでいきたいです。次にデイサービスのボランティア活動についてお伝えします。デイサービスでのボランティア活動は授業の一貫で行っています。毎週1回1時間学生4人のグループで利用者の方と活動をします。毎回主活動と歌という組み合わせで活動をしています。利用者の方は細かい作業を苦手とし、やりたがりませんが歌う活動には楽しそうに大きな声で多くの利用者の方が参加してくれます。私ともう1人の学生がピアノを得意としているので、毎回伴奏をしています。得意なことが役に立ったので嬉しく思います。また利用者の方には家族のことや若い頃行っていた授業のことを聞きました。とても楽しそうに話すので活動だけでなく話にも花が咲くようにしたいです。

とおっしゃっておられます。
児童に質問することで口を開かせる。大人も同じことです。得意なことを聞けば大人はいくらでも話してくれます。叱るような言葉遣い「なぜ教室に行けないか」は禁句。大人も同じです。長い報告ご苦労さまです。私も勉強させて頂きました。ありがとうございました。



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