平成29年12月26日
公益財団法人 壽崎育英財団の奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇
 

奨学生の皆様、猛暑の夏お変わりありませんでしょうか。遅くなりましたが7月の近況報告から始めさせて頂きます。皆様の学業に励むお姿には唯々感動の連続で読ませていただいております。有難いことでございます。

今回の最初の方は職業に集中するかたわら大学院を卒業なさる方です。この方の報告の中で王貞治さんの「努力は必ず報われる」お言葉と実績を信じご自身もやり続けたとおっしゃる奨学生の方のお手紙です。
では、

○今月も近況報告をさせていただきます。私は獣医の大学院に通っておりますので少し畜産のお話をしたいと思います。今月初旬に宮崎県和牛能力共進会が小林市にて開催されました。まず和牛能力共進会とは、全国の優秀な和牛を5年に一度一堂に集めて改良の成果や、その優秀性を競う全国大会で別名「和牛のオリンピック」と呼ばれています。この共進会で優秀な成績を収めると、その和牛ブランドの市場価値が全国的に高まるため参加道府県にとっては、まさに威信をかけた戦いです。この全国大会は今年の9月7日〜11日に宮城県にて開催されますが、全国大会に出場するには、まず県大会で選抜されねばなりません。その県大会が今月初旬に行われました。県大会は各地区から選ばれた牛が一堂に会します。その中には高校の農業クラブで面倒を見ている牛も入っています。今回県代表として選ばれた28頭の中にはこれまでで初めて高校から出品された牛が入りました。牛を飼うことを生業とし、皆が県代表になるのを目指し、熾烈な争いを極める県大会で高校からの出品牛が選ばれるというのは並大抵のことではありません。今回選ばれた小林秀峰高校の学生は選ばれた瞬間、その場に泣き崩れ、その場にいた誰もが心からの拍手を送りました。その時私は王貞治さんの「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならばそれはまだ努力とは呼ばない」という言葉が胸をよぎりました。この高校生たちは、この報われる瞬間の為に日々ひたすら努力し、そしてこの瞬間の為に過去何十年もの農業クラブの歴史を重ねてきたんだと思いました。実は宮崎牛は2007年、2012年の全国大会で、どちらも日本一を獲得し2連覇を達成しています。今回は3連覇を目指す大会でもあり、それは、それは高レベルな戦いでありました。今回選ばれた28頭が宮城県で栄冠を勝ち取ってきてもらいたいと思います。さて私自身の近況報告ですが、今月で全て単位を取ることができました。あとは論文を書けば卒業することができます。社会人として働きながら大学院に通うのはなかなか大変でしたが、なんとか卒業できる見通しが立ってきました。私も報われるような努力をし続けたいと思います。大学院生活の最後の難関が論文投稿です。気合いを入れてこの夏に論文を書ききりたいと思います。

とおっしゃっておられます。読み終わってからも涙が止まりませんでした。牛飼いの名人とも言われるプロの牛飼いの方々を押しのけて高校生の飼育した牛が県代表になる。若さで一心に優秀な牛を作ろうとする高校生同志の姿を思い、選ばれた時に泣き崩れる高校生たち、私も涙がこぼれ落ちました。これを知らせていただいた大学院の奨学生の方ありがとうございました。全国大会にも出場し3連覇が成し遂げられると良いなと思います。小林秀峰高校の学校はじめ飼育の生徒さんありがとうございました。


次の方は国立大学の希望が叶わず、新しく私立で頑張っていますお方です。又お手紙が姓は同じですが、名前の違うお手紙が別に1通ありました。読ませて頂くとお母さんのお手紙でした。ご家庭のお話は奨学生のご家庭に共通するものがあるのかも、と思いお母様のお手紙も記載させて頂きました。
では、

○先日は先生方の貴重なお話、そしてとても美味しい料理をありがとうございました。先生方の一言、一言が私の胸に突き刺さり、これまで自分になかった考えが自分の中に芽生えた時間になりました。また近況報告で同じ世代の方の活躍や頑張りを聞くことができ、私も頑張らないといけないという気持ちがとても強くなり、とても良い刺激になりました。あれから数日たち気付けば夏休みのカウントダウンが始まっている中、私は現在定期試験の勉強まっさかりです。11教科ありまた1つ1つの範囲がとても広いため高校の時とは違う気持ちでテスト勉強に力を入れています。そして最近つくづく思うことがあります。それはこの大学に入って栄養の勉強を始めて良かったなということです。私は小さい頃から、ずっと助産師になりたくて、高校3年間は国立大学を目指して、日々勉強と部活を頑張っていました。しかし推薦入試、センター試験と思うような結果が出ず、心折れてしまい自分が何故助産師を目指しているのかも分らなくなってしまいました。そんな時栄養士である母親に管理栄養士の道を勧められました。正直宮崎から出たかったし、国立という肩書きが欲しかったしで、微妙な気持ちで入学しました。しかしだんだん専門的な勉強が始まった今現在、栄養に関する勉強がとても楽しく、これを食べるとどこに影響するとか、食品1つ1つに含まれている材料がいったい何なのかなど、これまでなにげなく口にしていた物がなんとなく気になり始め、袋の裏にある成分表を気にするようになりました。この道は私にとても合っていて、この大学に入って良かったなと思うようになりました。そう思い始めたからには、もっと勉強して絶対夢叶えて、高校3年まで自分の中で思い描いていた助産師を超える栄養教諭になって、あの時の自分を見返そうと思います。もうすぐ夏休みです。その前に過酷なテストがありますが、私の好きな栄養に関する勉強をより集中して、できる期間でもあるのでいっぱい勉強してたくさんの知識を蓄積したいと思います。今月も頑張ります!

とおっしゃっておられます。新しい夢を成功させようとする頼もしいお考えに感動しました。ありがとうございました。

この奨学生のお母さんの手紙です。「親思う心に勝る親心今日の訪れ何と聞くらん」の詩を思い出し私のことについても母親に心からの御礼を申しあげます。有難い、有難いお方でした。
ではお母さんのお手紙を写させて頂きます。

○今回初めてお便りします。このたび奨学生に採用され本当にありがとうございます。驚きと喜びで日々感謝しています。我が家は4人家族、男の子、女の子に恵まれこの子供たちを大学に通わせることを目標にただがむしゃらに働いて節約して今に至っております。長男は無事に国立大学に受かりアルバイトをしながら、ただ今4年生就活に追われています。長女は国立大学を目指しましたが夢かなわず、辛い経験をして私立の大学に進むことになりました。私立大学に進学??とは夢にも思っていなかったので資金調達にひと苦労でした。長女は「お金がかからないように電車で家から通うようにし、アルバイトもするから・・・」と父親に頼み込みやっとの思いで今の大学に通えるようになりました。長男の授業料に比べると目が飛び出るような金額に驚きましたが、「栄養教諭になり恩返しするから!」と目を輝かせて夢を語りはじめた時は、高校3年生の冬大学入試につまずき心身ともに傷つき、かける言葉もない程落ち込んでいた時期を懐かしく思い出しました。4月から無事大学に通うようになり、生活にも慣れたころ学校に掲示板で今回の奨学生の案内を目にしました。これはご縁がありそうだから急いで書類を提出するように言いました。まさか採用されると思っていなかったので本当に嬉しかったです。今年4年生の長男が就活の為、遠方を飛び回り今まで以上に出費がかかり日々の生活が苦しくなる中、この奨学金を頂けるようになり、心が少し軽くなりました。先日の宮崎観光ホテルでの奨学生授与式当日は普段着で出席した為、周りの人達がスーツだったことに驚き半分泣きながら電話があり、親の至らなさに後悔したりしました。申し訳ございませんでした。ホテルの優雅さと、ディナーの美味しさに目を白黒させながら喜び嬉しそうに話してくれました。優雅な時間をありがとうございました。私のことで恐縮ですが・・・私が小さい頃、寿屋は最高のお買い物の場所でした。宮崎県延岡市に壽屋がありよく家族でお買い物に行き利用していました。子供の頃の記憶は鮮明でエレベーターに乗り上ったり、下がったりしてウロウロして迷子になった記憶があります。また若き日には日向市に大きな壽屋がオープンして子供を連れてお買い物にも行きました。1階のお食事コーナーが充実されていて美味しかった記憶があります。十数年前は壽屋のテナントで働いたこともあります。私にとって壽屋は記憶に残る素敵な場所でした。今回の奨学生の内容を知った時は何となく壽屋のご縁を感じた次第です。今回の奨学生のご縁を大切にして親子共々日々頑張っていきますので、これからもよろしくお願いいたします。長女も夢に向かって学校やアルバイトに全力で頑張っています。本当にありがとうございました。

とお母さんの娘を思う心を披露していただきました。何故母親の手紙を載せたのか、です。奨学生になられた方のご家庭の中にもこのようにご苦労なさっておられる方、アルバイトをなさっておられるご家庭は大なり小なり、このお母様のお手紙のような方もいらっしゃるのではないか、と。壽崎育英財団始まって初のお母様のお手紙でした。自分の子供の頃を考えても母親にすまなかったなと思うことが沢山あったのではないか、とこのお手紙を読ませて頂きながら感動し深く感謝申し上げます。ありがとうございました。


トップページ
寿崎育英財団とは
理事長挨拶
募集要項
お問い合わせ
寿崎育英財団各県案内
私を語る
 商業界

 寿屋OB会

 ロータリー

 理事長からの
 メッセージ


寿崎育英財団
住所 熊本市中央区水前寺6−1−38
TEL/FAX 096-340-8520

Copyright(C)2010 寿崎育英財団 All rights reserved.