平成24年8月25日
(財)寿崎育英財団奨学生への皆様へ
理事長   寿崎 肇

8月のお盆は如何お過ごしでしたでしょうか。私は3才までの曾孫3人と遊ばして頂きました。今までが大体1人の毎日ですが孫3人で合計7人の1日でした。大変楽しい2日間でした。ありがとうございました。

○近況報告の最初の方は「人間到る処青山あり」を体験した方です。
今月は大学卒業後の進路について考え悩んでいることをご相談も兼ね、ご報告させて頂きます。6月に公務員採用試験を受験し一次試験で残念ながら不合格となり、自分が一番に希望していた行政栄養士としての道が途絶えてしまいました。私自身の勉強不足が招いた結果であり、今まで何をしていたのかと、自分を情けなく思うとともに、やりたい夢を実践できる立場を獲得するには、相当の努力と下準備をし、誰にも負けない知識を身につけなければ、採用試験に勝ち残れないと言うことを痛感しました。今まで大学の学部の成績が良いことに満足していた自分は全国のほかの大学の学生が、どれだけ熱心に勉強しているかということに想いが至らず採用試験で全国の学生と戦うことになるという自覚も覚悟もありませんでした。本当に浅はかで、愚かで、栄養学への志や、問題意識だけが先行し、必要な知識をじっくり身につけることを怠ってきたという事実を一次試験不合格という結果とともに噛みしめることになりました。私を応援して下さる大学の先生方、友達に対して情けなくて顔向けできない心境です。また、このような状態では就職先が決まるかどうかさえ不安になり確実に就職先を得たい一心から、今まで想定していなかった食品卸企業の管理栄養士の採用試験にも挑戦してみようかと考え始めました。少しばかり なり振り構わず、手当たり次第といった観もありますが、おかげで、今まで考えたこともなかったような食品流通の中で、どのように管理栄養士が食品や体についての知識を活かしていけるだろうか、という事を考えてみる良い機会になりそうです。例えば社会が求める食品の付加価値を管理栄養士が与えることができるようだという期待や食品卸企業が食品の品質について栄養学的な視点を持ちたいと考えているらしいという企業の意外な戦略ビジョンを知った驚きなど新鮮な刺激がありました。食品の卸先はレストランや宴会場、食品販売会社、給食施設の3種類に分かれるようなので、それぞれの業界が卸業者にどのような食品の知識やサポートを望むだろうかという事について、もう少し考察してみようと思います。管理栄養士の活躍の場は意外に広いことを知ることとなり、一番希望していた行政栄養士の採用試験に不合格であったことが図らずも私に視野の広さを与えてくれるようです。

このように結んでおられます。
食品卸企業も漸く脱皮しはじめたのかと思いました。私が昨年10月ニューヨークに5泊して生き残りの小売、卸を見学しました。ミールソリューションが日本の卸企業にも始まったのかな。このような日本の卸企業は超先進企業だと思います。30年後この企業の社長を目指しては如何ですか。おめでとうございます。ありがとうございました。


○次の方はご自身がつとめて強くなる為の勉強のご報告です。
7月はセメスターを締めくける月でもあり、多くのことに追われていました。一つに学業です。その中でもレポートが非常にウエイトを占めていました。少ない時間でしたが、合計で一万字を超える程のレポートを書いていきました。提出直前の4日間はほとんど寝ることができず、コーヒーや栄養剤でどうにか、体力をつなぎ、やっとの思いで提出したところです。
もう1つが読書です。今月は先にも述べたレポートの関係で、読まなければならない本も多くあり、さらには自分の研究を深めていく必要もあり、1週間に3冊以上もの本を読み進めていきました。特に少ない時間で読まなければならず、集中して読書を行う時間を見つけ、読み進めていきました。まだまだ読まなければならない本、読みたい本がありますのでこれからも読書に精を出していきたいと思います。最後に教育活動です。今月行った教育活動は大学のテスト対策でした。私が対応できる科目に関しては、ある場所を借りて、一斉に指導していきました。そこには全く知らない学生なども参加して、たくさんの人で学業に励んでいきました。そこで重要視したのは答えを教えるのではなく、どうやったら答えにたどり着けるのかということです。確かに、テストの前になると、答えを求めて多くの人がその場所を訪れます。しかし答えを知ったところでテストでは点数はとれません。私はいかに答えに近づくかということを、根気強く多くの学生に指導していきました。その中で私自身も指導することにより、より多くの知識を身につけることができました。人に教えることによって、自らも理解を進めることができたのです。今後もこのような経験を通して、どんどん教育活動を行っていきたいと思います。

とおっしゃっておられます。最高の勉強が教えること。

○次の方は学校では学生。学校をはなれると母親の方の近況報告です。
2年生になり、変わったことといえば学校で「障がい学生支援サポーター」の活動を始めたことです。私は社会福祉学部に所属しており障がいをもつ学生と友達になりたいと思うようになりました。また他の学生とは違い家族をもっているものですから、学校を出ると母親役割が強くなる私にとって、貴重な学生としての時間をより充実させないと、と思ったのもそのきっかけとなりました。2名の方のサポートをさせて頂きました。代筆したり、車椅子を押したり、体位を整えたりするのが主な内容です。私のつたないサポートを大変喜んで下さり、恐縮する反面、こちらも大変嬉しい気持ちになります。明るく前向きな姿にパワーをもらい。とても楽しい会話ができ、私の楽しみが増えることになりました。授業においては介護福祉と社会福祉士の養成課程に所属しており、必修の科目だけで50数単位となります。授業数も多く専門的な内容のため、ついていくのが精一杯です。しかしそのどれもが生活に密着したもので、とても勉強になり、役立っています。2度目の大学生活を選択し、本当に良かったと日々実感する次第です。

とおっしゃっておられます。
大学生活を大へん楽しんでおられるご様子。最初の大学生活で散々苦労をなさっての2度目だからでしょうか。この大学生活を2度とないかも知れません。大いにエンジョイして下さい。ありがとうございました。


○次の方は留学生で悩みを克服できた喜びなどの報告です。お手紙のまま書きます。ご理解下さい。
この1ヶ月を振り返してみれば、自分精いっぱいなのでしょうか、より一歩を進めるため、今ある自分のことを繰り返して考える事を意識し始めました。これは人が自分の弱みを乗り越えるのがやはり苦手で、私もそうです。特に人の前で話すことは一番苦手なので、たまたま緊張しすぎて、話も続けられないほどでした。このままの自分を社会に持っていけば、どうしても認められないでしょう。今更こういうことを気づいて、この間非常に悩んでいたが、友人はこう言ってくれました。「毎回、人の前にプレゼンする(話す)チャンスを精いっぱい活かし、小さな成功から自信をもたらす。すべての出来事は必ず重ねてくるのだ」その言葉を聞いて、人の前で話すチャンスがある限り、全力で工夫しようと決心しました。1週間前のプレゼンが相変わらず緊張して、うまく伝わらなかったが下に座っている方々とアイコンタクトができて意外にある力が心から湧いてくるような気がしました。明日の発表も頑張りましょう!ところで、今月に日本の会社の協定インターンシップを応募しました。書類と面接をコツコツとやって、無事日本の会社さんからインターンの採用をいただきました。これから、ようやく日本企業の職場で働くことを体験できて本当によかったと思います。8月に入ると相変わらず自分なりに日本の生活と勉強をやっていきたいと思います。


とおっしゃっておられます。
留学生で大学3年の方です。若し私がこの出身の国に留学生となって行き、この方のような流暢な報告が出来るか、を考えました時、この方の報告の素晴らしさに頭の下がる思いでした。この奨学生の方から継続は力なりを改めて教わりました。日本の企業で長く働いて下さるようお体に気をつけ頑張ってください。ありがとうございました。

○次の方の報告です。人の意見を素直に聞くことが実社会で役に立つ「良薬は口に苦し、されど病に利あり」を実践なさっておられる方とお見受けします。
7月12日の大雨で大変な思いをされた奨学生の方もいらっしゃるのでは、と思います。私の家は被害にあっていません。しかし大学への通学が難しく、4時間もかかってしまいました。帰る家があり、通常通り学校へ行くことができることを有難く思いました。また日常生活は簡単に壊れてしまうということを実感しました。同じような毎日が送れることに感謝して明日も大切に過ごそうと思います。今期末試験の真最中で1分1秒も惜しいような勢い勉強しています。そんな中サークルの学外活動も活発に行っており、10人程度の小グループでの活動が増えました私の所属するサークルはトレーナー(スポーツ)や健康運動指導の現場を体験したり学校の行事の中で地域の方と身体測定やストレッチ運動を通して交わることを主な活動としています。私の所属する学科は、まだ新しく私の学年が第一期生です。サークルの活動も、やっと認められてきたような状態ですが少人数でも、スポーツサポートの現場を経験できる機会を断たぬよう頑張っています。しかし1人1人に色々な事情があり、それぞれ考え方が違うもの同士が、まだ新しい組織を動かしていくのは難しいです。時には感情的になり、時には投げやりになる者もいます。私自身も引っぱっていく実力も覚悟も足りないことを自覚することが多いです。そんな中で心掛けようと思うことは、人の意見を素直に受け入れることです。ついつい自分と他人が同じ感覚でいるような感覚になってしまいますが、そう思っていると、自分と違う意見が受け入れられません。自分が正しいと思ってしまうと前進はないと思います。しかし自分が正しいと思わないと、発言もできません。今大事だと思うのは、サークルのメンバーそれぞれが、自分の気持ちや考えを素直に表せる環境にすることで、間違いや失敗をみんなで受けとめて、前進につなげていくことだと思います。卒業して新しい社会に飛び込んでも同じようなシチュエーションになると思います。その場面を乗り越えられるよう、しっかり問題と向き合って成長していきたいです。何が問題なのかわからない抽象的な報告の手紙で申訳ありません。サークルばかり気を取られず勉強も頑張ります。

とおっしゃっておられます。
ものごとを深く突きつめていかれるお考えは私自身勉強させて頂きました。人の意見に耳を傾けることはその人を知ることになり、自分のもたないことへの発見につながる、と教わったことがありました。改めて反省いたしました。ありがとうございました。

○次の方の報告は試験用紙にも容赦なく汗がしみこむ程暑い夏そしてオリンピックのお話から始まります。
初めての近況報告を書き始めたのは2年時からすれば前期試験は大分実践に近いものばかりです。猛暑の中試験用紙に容赦なく汗がしみこみます。世間はオリンピックに一喜一憂する中、私たちはオリンピックの結果を知るのさえ、世間に2〜3日遅れをとっています。しかし自らと戦う姿勢はオリンピック選手も私達も同じなのではないかと思います。国を背負って戦うオリンピック選手と、たかだか前期の期末試験の一大学生と比べるのは非常におこがましいことですがオリンピック選手の戦う姿に励まされ、そして頑張ろうというエネルギーをもらっています。オリンピック選手の「今を戦う力」そして「今に懸ける思い」はこんなにも人の心を動かすものなのかと試験という“自分との戦い”の中に身をおいた今だからこそ味合う感動があります。今は断片的に、しかも結果だけを見ている状況ですが、今週の試験を乗り切ったら、ゆっくりオリンピックを観たいと思っています。しかし試験が終われば前期が終わってしまいます。私が懇意にしている交換留学生たちは、留学を終え帰国してしまうのです。分かっていた別れですが、そのときのために悔いのないよう、今を一緒にいようと、たくさんの時を過ごしてきましたが、やはり別れになると辛いものです。思い出が多ければ多いほど、別れは辛くなるものだということに最近になって気がつきました。「出逢いは別れの始まり」と言ったのは誰の言葉だったでしょうか。留学を終えて国に帰るだけ、何も一生の別れでないと知りながらも「寂しさ」は募る一方です。試験が終わって彼等が帰るまではほとんど時間はありませんが、最後にたくさん思い出を作りたいと思います。とりあえず、何はともあれ試験を頑張ります。

とおっしゃっておられます。いろいろと心の動きをおきかせ頂き私にとって勉強になることばかりでした。ありがとうございました。

○次の方は九州北部豪雨の被害を体験し命の大切さを実感なさった体験記です。7月12日住んでいたアパートは「九州北部豪雨」の被害に遭い一階が床上浸水しました。被害当日の早朝私は起きて勉強していました。部屋の窓から見える河川の水位を、朝から何度も確認していましたが、雨が7時頃には止んでいたので、河川が氾濫することはないと思い、そのままアパートに居ました。朝食のパンを焼いて、食べて、片付け、学校への登校時間(9時頃)まで、いつものようにゆっくりしていました。しかし登校する直前になって異変に気がつきました。部屋の玄関の方から水の音が聞こえ始めてきたのです。私は急いで玄関の様子を見ると、水が玄関のドアの隙間から浸入してきており、土間の段差でせき止められていました。ベランダのほうから水が浸入してくる気配がなかったので安心していましたが先に玄関の方から、水が浸入してきたことで現在は緊急事態であると認識しました。私はあわてて貴重品をバックにつめ玄関の方から脱出を試みましたが水圧でドアが開きませんでした。私は動揺しましたが幸にまだベランダからはあまり水が浸入してきてなかったので、そちらの方から外へは脱出できました。ベランダの塀を登り。アパートの側面の方から避難しようと試みましたが周りでは濁流が流れており、八方塞でした。本は陸地だったアパートの横の土地では濁流が河川のほうへと高速で流れていました。そこの濁流の深さは、わかりません。近くにあった木の棒(50センチメートル)で水位を確かめようとしましたが分かりませんでした。私は塀の上でしばらく呆然としました。濁流にのまれたら死ぬかもしれないという恐怖を感じました。しかしまだ水位はあがっていました。この塀の上でも時間が経てば安全でなくなることも明白でした。その時完全に避難手段がなくなり危険でした。
そう考えた私は気持ちの整理ができ、元は陸地だったアパートの横の土地へ降りることを決意しました。近くのフェンスまで距離があったので私は塀の上からフェンスを掴める場所まで飛び降りると同時にそのフェンスをしっかり握りしめました。水位は60センチメートル(膝が水に浸る程度)あるぐらいでした。身体に当たる濁流は思った以上に負担になるものではなく、足が濁流にとらわれることはありませんでした。私はフェンスを握り、伝いながらアパートの表(玄関側)に出て階段からアパートの2回へ上がり、なんとか避難することが出来ました。周りを見渡すと、茶色い海になっていました。駐輪場は完全に浸水し、自転車の姿は1台も見えませんでした。近所には車の中に閉じ込められている人が居ました。私はまだ恐怖がおさまりませんでした。午前10時40分頃漸く水が退き始めているのが分かりました。私はやっと安堵しました。水が退いた後アパートの周りでは泥が30センチメートルほど堆積していました。泥は下水の臭いがしていました。私はアパートに戻り、自分の部屋に入りました。すると床が泥水で浸水していました。幸い家電や衣類の被害はほとんどありませんでした。7月12日の午後私は部屋の床を掃除し泥を取り除き、その週末には親の助けを借りながら一緒に部屋の消毒を行いました。なんとか住むことが出来るようになりましたが、以前よりも害虫が住居内に侵入するようになりました。入居以来一度も出たことのない、ハチやシロアリが侵入することもありました。またアパートの周囲には異臭が漂い、ベランダには泥が残って洗濯物が干せませんでした。このように衛生環境が悪く、昔の生活を完全に取戻すことができなかったため、今まで気に入っていたこのアパートを引っ越すことを決意しました。7月中旬から8月初旬にかけて各種手続を完了させて、現在は別のアパートで新生活を始めています。東日本大震災の津波の被害が記憶に新しいですが、まさか私がテレビで見るような天災の被害に遭うとは思いもしませんでした。勉強や仕事などに日々取組んでいることがありますが、それはすべて命があってできることであると身をもって実感致しました。命は本当に大切です。私は今回の被災体験を活かし常に安全には気を配ろうと努めます。同じ過ちを二度と繰り返さないよう「貴重品など必要な物はまとめておき何時でも避難できる準備を常にしておくこと」や「天災の被害に遭いそうなときは早めの避難すること」を心掛けます。本当に辛い被災体験でしたが命が無事で良かったです。

とおっしゃっています。我々被災経験のない物には有難い教訓でございます。誠にありがとうございました。

○次の方はロンドンでのオリンピックに励まされた方の報告です。
前期の授業、テストは8月第1週目で無事に終わることができました。しかし集中講義、附属小学校での参加視察実習等があり、夏休みだとのんびり過ごす暇がありません。また卒論の先行研究に使う資料を収集したり、と充実した日々を過ごしております。今年はロンドンオリンピックも開催されて毎日が感動でした。悲喜交交な選手の表情がとても印象に残り、今期で引退する方、4年後にリベンジする方と常に前を向いて進んでいる姿に自分自身もとても励みになります。教は送り盆です。ゆっくり過ごされたご先祖様が戻っていかれます。ご先祖様に良い報告ができるように、精進したいと思います。

とおっしゃっておられます。この手紙は8月15日送り火をたき我が家に戻ったご先祖様をあの世にお見送りする日にお書きになられたものでしょう。前へ前へと進むオリンピック選手をお手本に、ご先祖様を大切になさるお人柄。私もこのようにありたいと思いました。ありがとうございます。




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