平成23年12月19日
(財)寿崎育英財団奨学生への皆様へ
理事長   寿崎 肇

10月11日から17日まで商業界主催の石原靖曠先生がコーディネートをして頂きました米国小売業の視察に参加いたしました。今年はニューヨーク(NY)に5泊いたしました。

丁度ニューヨークでは失業や格差を訴え「ウオール街を占拠せよ」と云うスローガンのウオールストリートのデモです。デモ行進は終わったのかどうかはわかりませんが、デモ隊が公園に屯して太鼓を叩き踊っている楽しそうなデモ隊でした。アメリカでもデモがあるのか初めて聞き見学したデモでした。又2001年9月11日の世界貿易センタービルの跡地や周りの空地はビルラッシュの感じで見物の人はいっぱいでした。案内の方に、何故あのビルが横に倒れず、沈むようにして、ビルが無くなったか、「ナゼなのですか」と聞きましたら、横に倒れると、他に迷惑がかけるので、沈むように設計されたとの事でした。詳しくはわかりませんでした。あのビルの設計は日本人との話でした。

もう1つのNYの大きな話題は、10月14日ユニクロの開店です。大がかりなプロモーションのようでした。日本語のユニクロと英語で並べて書いてあり、バスのボデーや地下鉄ホームの入口などでよく目につきました。石原先生はNYはユニクロ一色の感じだとおっしゃっておられました。石原先生は吾々や中堅幹部ゼミ受け入れでNYでマンションを1ヶ月借りて生活しておられるとのことでした。先生のお話ではユニクロの開店チラシを街頭で配ります。そのチラシと一緒にテッシュペーパーを配りますと、受けとった人はサンキューと言う、と米国では珍しいこととおっしゃっておられました。開店五番街の何丁目か忘れましたが角店です。開店日に入店出来るかと店の前に行きました。3回前を通りましたが大体入店の為ワンブロックの行列で3度共外から見るだけでした。カシミヤセーター89ドル、24色かなり色が残るだろうが、今の時代は小品種大量販売の時代でなく、多品種小量販売のマーチャンダイジングの時代です。と。

昔と言っても30年位前のことですが、当時同じ柄デザインを所得の高い人は高級専門店か百貨店で買い、所得の低い人は値段の安いバラエティストアのウールワーズで買い、その中間の所得の人はディスカウントストアのKマートで買うなど教わったものでした。このユニクロの開店のテープカットにNY市長もお出になったそうです。お店を外からみて3階で売り場は1500坪はあるように見えました。ここで働く従業員は650名内日本から来たのは、店長以下7名とのことでした。今後マンハッタンで5店NY市で20店全米では日本の店数の2倍の1600店以上を目指すとのお話です。日本の小売屋がNYで開店する位で、テープカットにNY市長が。と少々オーバーな感じを受けましたがNY市での雇用が1万人近くになる。それなら当然かとは思いましたがNYの雇用も今はあまり良くないそうで納得しました。ユニクロの柳井社長が攻めの姿勢を貫くのは「チャンスは日本以外にあり、外に出ないと自滅するだけ」「グローバル競争に参加しないと勝者になれない」と。ユニクロの商品構成だから自ら出店が出来る。世界一の小売業のウオールマートは国外では提携です。日本でのウオールマートの戦略は西武百貨店の子会社だった西友ストアが今はウオールマートの子会社ではなかったかと思います。

NYをバスで行動する時ここは歩かせた方が良いと思われる処は歩きました。NYの治安が以前に比べ格段によくなっていました。ハーレムを30分程歩きました。以前はバスの中からの説明でしたが随所に黒い人達が屯するのが見え、お店も今度のような華やかな状況ではありませんでした。今回はお店も増え人通りも違う町に来ておる感じのハーレムでした。地下鉄にも乗ってみました。前回は何人かの日本人と一緒でした。拳銃でもつきつけられるのではないかなど話した思い出があります。今回は2人で乗りましたがのんびりとのどかな感じでした。でも腰掛は固い木で昔のままでした。トップの市長が替わるとこんなにも変わるものかと思いました。自分が変わることが第一だと反省いたしました。


NYで貨物船の高架線を廃止して遊歩道にしておりました。ビルが見えない位ススキなどの草が生い茂るくらいで草刈りを、なぜしないのかと聞きましたら、鉄道沿線のイメージを残しておきたいから、とのことでした。NYは港ですから倉庫がたくさんあります。倉庫を活用してお店にしております。画廊や食堂、ワインの店、おいしいものの店などで前回は見学しましたが、今回は見ませんでした。

観光らしいものは終わりにして、小売業の勉強について報告いたします。毎年米国まで来て、小売業の勉強、現役ならいざ知らず86才にもなってほんとに必要のないように見えますが、私の場合他に遅れたくないことと、寿屋OBの方などに報告書を差上げます。それに商業界九州沖縄連合同友会の会長をさせて頂いておる関係で例会に出席いたします。現役時代にやって来た事と今なされておることのギャップなどエキサイティングな米国小売業。ラインロビングで生き残っておるお店。特にNYでは手っ取り早く勉強が出来ます。昔の米国小売業視察は自社の為、自分の為でしたが、今はA430枚程の報告書は米国まで行くのに時間がもったいない、とおっしゃる方からは喜ばれており、勉強させて頂くことはボケ防止にもなっているようです。

報告の前置きが長くなりました。成田からNY行き約12時間帰りは向かい風で役15時間で成田に着きました。石原先生よりのご注意は米国で野蛮人と言われない為に守ることが
先ずエレベーターの乗り降りは女性が先。イエス、ノーをハッキリ。次サンキュー、お金払っても。プリーズを必ずつける。そしてエキス・キューズミー。アイアムソーリーは謝ったほうが米国では負け。後程世界一の小売業のウオールマート年商40兆円。この金額は日本の国家予算のうちの税収にほぼ同じとのお話。このウオールマートはお客様がボス。社長はボスではないよと言っておる感じ。社員はアソシエイト、協同経営者と見立てておるようです。問屋メーカーさんはパートナー。奨学生の方で”進化”の研究をなさっておられる方が居ます。小売業の進化とはどうあるべきか、NYで何かヒントはないかなど考えながら見学をいたしました。進化したことが現在生き残っておる。生き残るにはどのようなこと、やもの、を除き、何を加え続けたか。です。NYでお客様の求めておるものグルメ、ソリューション、オーガニックでないと相手にしてもらえない感じ。コンテナーストアがあります。コンテナの概念をどこまで拡大させ、思いつくことが出来るか。収納品の店です。靴ベラもあります。これも収納品?で”進化”の中に收まるのかどうかは問題ですが見学したこと考えたことを、羅列のように書いてみますので小売業が生き残るのは”進化”してこそです。あなたで判断して下さい。小売業の勝ち残りの為にはラインロビング。新しい商業に次々に挑戦していくこと。今の時代は企業力の力の時代から店の力の時代になったか、資本が大きいから買い物に来る時代ではなくお店の力、魅力。つまりファミリービジネスの時代?。スーパーマーケットがグロザーなど材料売り屋からどのようにして何を加えて脱皮するか。ミールソリューションも1つ。先生は「商業界の世界で今好調は衰退の始まり」と。10年毎の米国でのファッション企業の盛衰の説明を伺って何故だろうかと思いましたが大繁盛の時のトップが現状維持が結局退歩となり次なる新鮮なファッションストアにお客様を奪われた?。人づくりが陰の力として企業の盛衰を決める。又ドラッカー教授のおっしゃった「経営は基本の徹底と変化への対応」これが経営トップの四六時中345日思い続けやり続けることかなと思います。NYで生き残る企業。店はファミリービジネス。オリジナリティづくり。ラインロビング。ソリューション。のように見受けました。日本にも当てはまることではないかと思いました。的を得た報告にはなりませんでしたが、お許しを頂きとうございます。次回又何かの私の近況報告を奨学生の皆様のためにさせて頂きます。お読み頂きありがとうございました。  合掌




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